有機栽培に使える農薬

「有機栽培は無農薬だから安心」というのは、半ば常識とされています。
ところが、有機栽培でも使える農薬があると聞いたら、皆さんはどう思いますか?
実はJAS規格では、有機栽培に使える農薬も規定しているのです。

 

有機栽培では、

様々な方法で病害虫防除しますが、
天候の不順によって、どうしても病害虫が発生してしまう環境におかれることがあります。
そのようなとき、農薬を散布しなければ、全く収穫できないことになります。
出荷できないことは、ビジネスとして考えた場合、契約違反。
消費者にとっても生産者にとっても、それは不幸なことです。

 

しかし、これは制度の不備でもあるのですが、
有機栽培における農薬の表示義務は特にありません。
だから、農薬を使っていてもわからないことがあるのです。

 

この点、野菜の宅配などで、

栽培履歴がいつでも見ることができる体制になっていれば、
安心して野菜を購入できるのではないでしょうか。
多くの野菜の宅配業者では、契約農家に栽培履歴の公開を義務づけています。
なので、こんな心配をする必要はありません。

 

有機JAS規格では、

「農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合」かつ、「耕種的防除、物理的防除、生物的防除を適切に組み合わせても、効果的に防除することができない場合」
に限って、農薬の使用を認めています。
つまり、最終手段なわけです。

 

使って良いとされる農薬は、

除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤(除虫菊から抽出したもの)、マシン油乳剤、硫黄粉剤
硫酸銅・生石灰(ボルドー剤調製用)、天敵などの生物農薬、性フェロモン剤などです。
直接果実や収穫される葉っぱに散布するような農薬は、ほとんどありません。

 

除虫菊は蚊取り線香の材料として使われるものです。
マシン油やボルドー液などは、かなり昔から使われている農薬です。
石灰硫黄合剤は、果樹などで芽吹く前に使われることが多く、
果実に残留することは、まずありません。

 

ここからは、有機農法で使われる農薬について、分類しながら説明しましょう。