有機肥料とエネルギー

有機肥料を用いることで、エネルギー問題も解決すると聞いたら、信じられますか?
堆肥など有機肥料を有効に使うことで、エネルギーの消費をうんと減らすことができるのです。

 

企業が出す食物残渣や、食肉解体場から出る動物の骨や内蔵などは膨大な量になります。
これらの材料を活用してバイオガス発電プラントを作れば、
同じプラントの面積を太陽光発電に使った場合と比べて4倍もの収益が上がるという試算もあります。

 

バイオガスが生産されれば、その分だけ原発や火力発電所などを減らすことができます。
さらに太陽光や風力といった、不確定要素が多くて安定しない電力ではなく、
基本的には火力発電なので、安定した電力が供給できます。
ガスから出た残渣は堆肥として活用でき、ほぼ100%循環型のエネルギー環境ができるわけです。

 

もし、これを焼却処分していたとすれば、その燃料費もかかるわけで、
削減できるエネルギーは、本当に大きなものがあります。
食べ物の安全性を考えれば、すべてをこのような形で活用することはできませんが、
一元的に管理することで、トレーサビリティーの徹底が可能となり、
出てきた有機肥料の種類別に用途を振り分けることも可能になります。

 

たとえば、非常に安全性の高い原料からできた堆肥は有機栽培野菜などの食べ物に使う肥料に、
それ以外の食物残渣からできた原料なら、
花などの農家に、そのほかの材料でできた肥料は、工場の緑化用などに振り分けると、
エネルギー循環と食べ物の安全性が担保できるのではないでしょうか。

 

堆肥の発酵熱を活用しようという研究もあります。
金沢大学では、竹チップの発酵熱を活用することで、
土壌の加温 、陸上養殖水槽の保温、駐車場等の融雪装置 、穀物の低温乾燥などが
可能であるという報告をしています。

 

そこまで将来的な話をしないまでも、
有機栽培の農家を支援していく(そのような農家からの野菜を購入する)ことは、
無駄な焼却エネルギーなどを使わずにすみ、
CO2削減や、エネルギー削減に貢献しているのだということを忘れないでいて欲しいものです。