有機野菜栽培は菌がついていそうでイヤ

有機栽培を今ひとつ選びたくないと思う人は、
「なんだかいっぱい菌がついていそうでイヤ」という人でしょう。
確かに、ドイツでは有機栽培で作られたモヤシから、
毒性の強い大腸菌が発見され、問題になっています。
問題の大腸菌は堆肥に使用された牛の糞などから感染したものであるとされています。

 

日本では、モヤシを有機栽培で作るということはなく、衛生管理もしっかりしているので、
この問題は日本では当てはまりません。
大腸菌の問題に関しては、農林水産消費安全技術センター(FAMIC)によるレポートがあります。
牛糞の中に大腸菌が検出された場合であっても、
発酵過程において60℃以上に発熱したものについては、できた堆肥には大腸菌が検出されなかったそうです。

 

また、北海道畜産試験場では、たとえ、発酵熱が不十分で、大腸菌が含まれる危険性があっても、
石灰窒素を添加することで大腸菌抑制に成果が上がっているそうです。
これとは別に、宮崎県総合農業試験場での試験では、
大腸菌は植物体には移行しないとの研究報告もあります。

 

ですから、ほとんどの場合、大腸菌汚染に関しては、
有機栽培でも心配はいらないといえるでしょう。
有機栽培は多くの菌類や微生物を利用するため、汚いイメージがついて回るかもしれませんが、
それは土を使う栽培なら同じことと言えます。

 

気になればよく洗いましょう。

家庭では水洗いすることでほとんど大丈夫ですが、
給食や外食産業などでは、消毒することが必要になります。
一般的には、野菜や果物を生食する場合には、流水で十分洗浄し、
必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムの200mg/Lの溶液に5分間浸して殺菌を行った後、
十分な流水ですすぎ洗いを行うことになっています。

 

また、水耕栽培で作られる野菜はこのような問題は生じませんので、
生でサラダを作る場合に使うと安心です。
最近は家庭や社会が衛生的になったため、今まで問題にならなかったことでも
、気にかける人が多くなってきました。

 

しかし、有機栽培では身体に良い菌、悪い菌、どちらでもない菌(これが最も多い)が多く存在するため、
拮抗作用などによって普通はバランスがとれた状況になっているのです。
菌についてはあまり気にしなくて良いと思います。