フェロモンによる害虫対策

人間にもあるのではないか、と言われる性フェロモン。
昆虫の場合は、フェロモンが発達していています。
目があまり見えない昆虫でも、このフェロモンを感知して、意中の相手を探し出すのです。
この仕組みを利用したのがフェロモン剤です。

 

性フェロモンなので、

特定の害虫にしか効果がありません。
薬剤(フェロモン物質)をしみこませた板状になっており、
作物の生育に支障のない高さに支持棒等を立て、そこに固定して使います。

 

フェロモン剤は、成虫の交尾を連続的に阻害。
交尾率を低下させることで、害虫の密度を低下させることを目的とします。
殺虫効果がないので、完全に駆除することは出来ず
さらに、畑に均一になるように設置しないと、効果が十分に発揮されません。

 

急傾斜地、風の強い地帯で、フェロモン剤の濃度が急激に拡散する場合もダメ。
フェロモンで害虫を引き寄せ、壺の中の水に落とし、水死させる、
フェロモントラップというものがあります。

 

フェロモントラップ

屋根は濃緑色、その下の部分が黄色、壺になった容器は白。
この色分けされたファネル型トラップは、世界中で使用されています。
害虫の捕獲効率は、この色の組み合わせが一番なのだそうです。

 

ただし、これも使用場所によっては、違う色の組み合わせもあるようです。
害虫が強い日射で死にやすくするため、黄色や白の部分を透明にしたり。
しかし、ハスモンヨトウやニカメイガは黄色に誘引される性質があるので、
容器に入る確率そのものが悪くなるという報告もあります。

 

このフェロモントラップは、使用するフェロモン剤を
バスケットの中にしみこませて、入れる仕組みです。
バスケット部分のフェロモン剤を交換すると、色々な害虫に対応できます。

 

フェロモンや天敵を活用した防除は、

生態系に及ぼす影響を考えないといけません。
特に天敵の場合は、圃場以外の場所に影響を及ぼさないように、慎重に使う必要があります。
生物農薬やフェロモンは、薬剤を使わないので、安全なように思いがち。
でも、生態系を壊してしまう危険があることは、認識しておかなければなりません。