有機野菜栽培に使われる環境に優しい肥料

有機肥料は環境に優しいと言われます。
化学肥料を使った慣行栽培でも、最近では良質の堆肥を施し、土作りに努力する農家も増えてきました。

 

しかしながら堆肥を作るには、ある程度の経験と、堆肥を作る場所が必要なため、コストも多くかかってしまいます。
慣行栽培でそこまでできないという農家は、畜産農家から堆肥を購入するか、
腐植などを固めた粒状のものを購入して散布することになります。
こうした堆肥代用肥料は、土の団粒構造を作るのには効果がありますが、
安全性という意味では、疑問を感じずにはいられないものもあります。

 

堆肥代用品を販売しようとする場合は、肥料としての販売と同様に扱われ、
成分表示などが明記されていないと販売できません。
重金属などの毒物が検出されていないことも条件になってくるので、安全性は一定程度担保されています。

 

しかし、原料をみてみると、下水処理施設から出てくる汚泥だったり、
工場の敷地にある落ち葉をかき集めたものであったりすることも多くあります。
再利用という意味では、確かに環境保全に役立っていますが、
私たちが口にする日常の野菜に使うのはいかがなものかと考えてしまいます。

 

有機栽培農家では、確かな栽培・生産をしている農家から購入する場合がほとんどで、農
薬を散布した稲わらを使わない、抗生物質を使った家畜の糞は使用しないなど、
徹底したこだわりを持っている農家がほとんどです。

 

また、堆肥を投入する場合、「いくらでも投入すればするほど良い」ということでもないのです。
有機栽培といえども、余った肥料成分は地下水などにしみ出して河川へ流れ、河川の富栄養化に影響します。

 

これが進むと、河川中の酸素濃度が減少して、魚など生態系に影響してしまうのです。
化学肥料とは異なり、すぐに影響することはないにせよ、やり過ぎに注意する必要はあります。

 

今の有機栽培農家は、ちゃんと計算して必要な分だけ必要なときに施肥するので、
このような心配も少なく、環境保全に貢献している度合いも高いといえます。