無機肥料と有機肥料の共通点

有機栽培野菜は、何となく「おいしい」というイメージがあります。
しかしながら、「有機栽培だからおいしい」ということはないのです。
野菜の「おいしさ」は、有機か無機か、という要素よりは、肥料のバランスで決まることが多いのです。

 

植物が光合成して栄養を吸い上げる基本は、無機栄養の形です。
たとえば、窒素はアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)の形態でしか吸い上げることができません。
有機肥料に含まれるタンパク質は、土壌中でアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)に分解されてから根に吸収されます。

 

無機肥料では、最初からアンモニウム(NH4+)または硝酸(NO3-)として施肥されるので、根に直接吸収されるのです。
ところが、最近、窒素肥料の内、アミノ酸の一部は直接吸収されるらしいことが、実験などでわかっています。
そこで、アミノ酸入りの化学肥料や、直接葉面に散布する液体肥料が販売されています。
アミノ酸は、野菜をおいしくすると言われており、有機栽培の野菜がおいしいというのも、
このアミノ酸が豊富にあるからとも考えられます。

 

ただし、米の場合は、アミノ酸が少ない方が食味は良くなります。
リン酸肥料は、リン酸体(PO4-)の形で吸収されます。
動物の骨などで供給されるリン酸は、やはり土壌中のバクテリアなどで分解されてから、植物に吸収されます。

 

化学肥料の場合は、リン鉱石から抽出されたイオンをカルシウムなどと結合させたもので、
肥料では、過リン酸石灰(Ca(H2PO4)2・H2O とCaSO4 の混合物)がよく用いられます。

 

もう一つ、植物に欠かせない要素として、カリウムがあります。
カリウムは、カリウムイオンK+として吸収され、塩化カリや、硫酸カリ、ケイ酸カリウムとして肥料に使われます。
塩化カリはシルビナイトなどの天然鉱石を選鉱または再結晶させて作られ、
硫酸カリは塩化カリウムに硫酸を反応させて作られています。

 

ケイ酸カリウムはフライアッシュ(石炭からできる灰)の有効利用として開発され、
水酸化カリウムなどを混合・造粒して肥料になります。
カリウムは、牛糞よりも豚糞に多く含まれ、稲わらにも多く含まれています。