有機野菜栽培だから虫食いは当然?
これも昔から言われることで、
「有機栽培で消毒もしないのだから虫食いがあって当然」という意見です。
「虫食いがないと消毒している」とまで言う人もいます。
有機栽培でも使える農薬はありますので、最終手段として、
そういった農薬を用いることはあります。
それ以前に虫が入らないように、様々な対策を講じており、
昔のように虫食いがある(虫がいる)野菜というのは、ほとんどありません。
特に最近では、異物混入に関して厳しくなってきており、
有機野菜でも「虫」、つまり「異物」が混入していればクレームの原因になるため、
害虫の防除には神経を使っています。
一方、虫の食べる野菜は、未熟堆肥や窒素が多い化学肥料を使った土壌で育ったものだから、
虫が食べる野菜こそ、危険なのだという人もいます。
これも極端な意見で、有機栽培で何もしなければ、虫だらけの野菜になってしまいます。
害虫の被害を受けないようにするには、まずネットを張ることです。
ヨトウムシやアオムシなどは、その成虫である蛾や蝶を侵入させないことで、
幼虫が葉っぱを食べるのを防ぎます。
そしてイヤなニオイがするハーブを植えるのも一つの方策です。
ほかには、同じ系統の作物を連続して作付けしない様に気を付けましょう。
アブラナ科の野菜を続けて栽培すると、前作に残っていた害虫が繁殖する可能性が高くなります。
ところで、害虫に関して気になるニュースがあります。
アメリカでは、ウエスタン・コーン・ルートワームという代表的なトウモロコシの害虫に、
遺伝子組み換え(GM)トウモロコシが出す毒素に対する耐性が広がりつつあるというのです。
遺伝子組み換えの技術は、人工的に毒素を出す性質をトウモロコシに植え付けています。
これも耐性を持つ害虫が出てきて、おそらく、次に効果のある毒素を出すトウモロコシが開発されるのでしょう。
そしてその毒素が人間に影響を及ぼさないか心配です。
有機栽培では、基本的に天敵を利用するなど、生態系の中でどうやって防ぐかを考えていくので、
毒素がどんどん強くなるのではないか、といった不安を持ちながら栽培を続ける必要はありません。