天敵(生物農薬)について

作物に直接散布する農薬とは異なり、生物の生態系を活用した防除方法です。
生物農薬の歴史はかなり古くからあります。

 

明治の初期、海外から色々な作物と害虫が入ってきたことによって、害虫被害が拡大。
その対策として、天敵を輸入。大きな効果を上げました。
なかには、その後日本に定着した天敵昆虫もいます。

 

1954年

土壌病害の防除用にトリコデルマ菌が発売。
菌を使って防除する方法が普及してきました。

 

特にBT菌は、幅広い鱗翅目害虫(チョウ・ガの仲間)に効果があって、
使いやすいことから普及が進んでいます。

 

1997年には、除草に使える生物農薬として、XC菌が発売。
水田用などへの適用に向けて研究が続けられています。

 

BT剤は、

化学合成の農薬などと同じように、水和剤です。
普通の農薬をまくように、水で薄めて散布します。
コナガやヨトウムシに効果があります。

 

BT剤は、成分として含まれる菌が持つ、結晶性タンパク毒素により、
コナガ・ヨトウムシを殺していきます。
毒素は害虫にのみ、効果。
マルハナバチ、ミツバチなどへの影響もきわめて少ないのが特徴です。

 

カミキリムシの防除に使われるのは、

昆虫病原性糸状菌「ボーベリア・ブロンニアティ」(Beauveria Brongniartii)を
活用したボーベリアブロンニアティ剤です。
この製品には、菌をパルプ不織布に固定した、全く新しい天敵資材があります。

 

ゴマダラカミキリ、キボシカミキリ、センノカミキリの成虫に付着すると、短菌糸を形成。
昆虫体内の養水分を奪い、ミイラ化させ死亡させます。
殺虫効果は長期に持続しますが、特異的に作用する菌です。
他の昆虫等に影響を与えることがありません。

 

他にも、

ハダニを食べる、チリカブリダニ剤。
コナジラミ対策として、オンシツツヤコバチ。
納豆菌と同種の菌の枯草菌を活用した、なすなどの灰色かび病防除。
たばこの病害に効果のあるトリコデルマ菌。
バラの根にある病害を防ぐラジオバクター菌などが商品化されています。