有機野菜栽培に使われる堆肥

有機栽培の中で、最も大切で、最も農家の個性が出るのが堆肥です。
堆肥の材料は農家によって千差万別で、農家ごとに違っていると言ってもいいくらいです。

 

堆肥の材料として、最もポピュラーなのは、牛糞です。
畜産農家(肉牛・乳牛)と提携して、半発酵したものを購入している農家もありますし、
畜産農家で発酵させた堆肥を直接購入する場合もあります。

 

畜産農家でも副収入として、堆肥は重要な収入源になっていることもあって、
良質な堆肥を生産できるようになってきました。

 

次によく利用されるのが稲わら。
稲作農家で出てきた稲わらを活用するのが一般的です。
昔は自分の田んぼでできる稲わらを活用していましたが、
大規模化などによって、ほかの農家から購入することが多くなっています。

 

有機栽培農家では、農薬を使った田んぼから出たわらではないか、直接確かめて使っています。
稲わらはケイ酸やカリウムを豊富に含み、堆肥の材料としては是非活用すべきものです。

 

堆肥では、発酵過程で発酵熱が大変重要になってきます。
発酵温度が足りないと、腐敗菌が活発に活用し、発酵ではなく、腐敗となって、
材料からアンモニアやメタンが大量に発生し、悪臭もひどく、できた堆肥は使い物になりません。

 

また、高すぎても水分が蒸発してしまい、発酵しないまま乾燥してしまうのです。
そこで、堆肥には、拡販するために切り返しと積み上げることを繰り返し行い、発酵ムラがないようにします。

 

良質な堆肥を作るために、水分調整も欠かせません。
水分が多いと発酵温度が上がらず、少なすぎると十分な分解が進まないまま、
高温になりすぎて、いわゆる「やけた」状態になってしまいます。
水分調整のためには、籾殻や稲わらの投入量で調整します。

 

最近、食品リサイクル法の改正により、食品加工業者などで、堆肥を生産することも多くなってきました。
これらの企業が作る堆肥は、材料が明確で、使いやすい堆肥です。
できた堆肥は、その企業の材料を納入している農家に還元されて使われているのが一般的です。