有機野菜栽培に使われる肥料

有機栽培に使われる肥料は、堆肥が中心になります。農家が自分で作る場合も多く、
そのノウハウが、おいしい野菜を作るポイントでもあります。
有機栽培で作られる野菜が「おいしい」と思われることが多いのですが、
堆肥がうまく作れないと、おいしくない野菜ができます。

 

堆肥は土壌を改良する意味で使われる場合と、元肥として使われる場合があります。
牛糞中心の堆肥は、どちらかといえば土壌改良の意味が強くなります。
土壌改良とは、物理的に土の構造を改善することと、微生物を多くすることの2つの意味合いがあります。

 

土壌の物理的な改善とは、土をふかふかにするということです。
化学肥料ばかり使っていると、土の中の微生物も減り、土の中の有機物が減って、細かな粒の粒子ばかりになってきます。
そうすると、土の中に水分や空気を含むこともできなくなり、根腐れの原因になることも多くなります。

 

また、田んぼなどで、もともと水を蓄えることが容易な粘土質の土も、
細かい粒子が多く、空気層が少ないため、根が正常に成長しません。
有機物を入れると、それを分解する微生物やミミズが活動し、土を団粒構造(粒と粒が結合した形)を形成し、
水分や空気が適度に存在する土になるのです。

 

化学肥料を使った慣行栽培であっても、有機栽培であっても、
この団粒構造を作ることは共通の基本的要素です。
元肥にする堆肥は、土壌を改良するための堆肥と同じに投入されることもあります。
この堆肥は肥料分を多く含ませるために、もともと栄養に富む材料を使います。

 

牛糞よりも豚や鶏の糞を使うと、肥料分を多く確保できます。
しかし、これだけでは肥料分に偏りができてしまうので、
多くの場合は、これらの糞にミネラル豊富な米ぬかや糖蜜などを加えて発酵させます。

 

追肥の肥料は「ぼかし」といって肥料分を多く含んだ堆肥を使います。
これには元肥の堆肥以上に材料を吟味しますし、
発酵のために特定の菌を「種菌」として入れる場合も多くあります。
これから有機栽培に使われる肥料について説明していきましょう。